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大矢 恭久*; 廣畑 優子*; 田辺 哲朗*; 柴原 孝宏*; 木村 宏美*; 小柳津 誠*; 新井 貴; 正木 圭; 後藤 純孝*; 奥野 健二*; et al.
Fusion Engineering and Design, 75-79, p.945 - 949, 2005/11
被引用回数:9 パーセンタイル:53.1(Nuclear Science & Technology)JT-60Uの内側ダイバータ中の水素と重水素の分布及び滞留量を二次イオン質量分析法(SIMS)及び昇温脱離法(TDS)、また再堆積層の有無及び厚みを走査電子顕微鏡(SEM)を用いて評価した。その結果、ほとんどの水素及び重水素は再堆積層(HH再堆積層またはDD再堆積層)に滞留していた。重水素放電時に高い熱出力があったため、DD再堆積層中の重水素はHH再堆積層中の水素よりもかなり少なかった。再堆積層が存在しない排気ポート近くでは表面近傍に重水素がおもに存在し、これが主要な水素のプロファイルとなっていた。これらの結果から推定されるトリチウムの滞留挙動は放電履歴及び温度に強く影響されることが明らかとなった。グラファイトタイルや再堆積層中のトリチウム滞留量は、核融合炉運転中の温度を上げることによって大幅に低減することが可能であると言える。
廣畑 優子*; 柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 大矢 恭久*; 新井 貴; 後藤 純孝*; 正木 圭; 柳生 純一; 小柳津 誠*; 奥野 健二*; et al.
Fusion Science and Technology, 48(1), p.557 - 560, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:24.17(Nuclear Science & Technology)JT-60Uで重水素と水素放電に曝されたダイバータタイル中の水素同位体保持特性を昇温脱離法と二次イオン質量分析法で測定した。JT-60Uのタイルから放出する主な気体はH2, HD, D2とCH4であった。内側ダイバータタイルの水素同位体保持量は、再堆積層の厚さに比例して増加した。この直線の勾配より求めた再堆積層中の水素濃度は約0.02で、JT-60で水素放電に曝されたタイルの値に類似し、他のプラズマ実機装置に比べて極めて低かった。この理由として、JT-60Uの運転温度が300Cであったこと、再堆積層がポーラスで基板との熱接触が劣化し、放電中にタイル表面の温度が上昇したものと考えられる。損耗を受けていた外側ダイバータタイルは、内側ダイバータタイルに比べてH保持量が少なく、バッフル板でも同様な傾向が見られた。ドームトップタイルは外側バッフル板とほぼ同程度の保持量であった。タイル中に保持されたDとHの比(D/H)はほぼ0.4であり、放電回数が少なかったHの方がむしろ多く保持されており、表面近傍に保持されていたDが水素放電中に交換されていたことを示唆している。同じことは水素同位体の深さ分析の結果でも示されている。再堆積層直下にも重水素が保持されていた。
廣畑 優子*; 柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 新井 貴; 後藤 純孝*; 大矢 恭久*; 吉田 肇*; 森本 泰臣*; 柳生 純一; 正木 圭; et al.
Journal of Nuclear Materials, 337-339, p.609 - 613, 2005/03
被引用回数:13 パーセンタイル:65.32(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60の水素放電期間に使用された下部ダイバータタイル中の水素保持特性を昇温脱離法(TDS),二次イオン質量分析法(SIMS)と弾性反跳検出法(ERDA)で測定した。その結果は以下のようである。(1)JT-60のダイバータタイル上には最大で70ミクロンの再堆積層が堆積していた。(2)単面積あたりの水素保持量は再堆積層の厚さに比例して増加した。(3)再堆積層中の水素濃度が膜中で均一であり、再堆積層の密度がバルクの等方性黒鉛と同じであると仮定して、この比例定数から再堆積層中の水素濃度を求めた。(4)再堆積層中の水素濃度は約0.015であり、この値は他のプラズマ実機装置の再堆積層中の水素濃度に比べて低かった。(5)再堆積層を除去した試料中の水素濃度は直線の外挿点よりも低いことから、再堆積層直下にも水素が保持されていることを示唆している。(6)このような低い水素濃度になった理由としてJT-60は運転温度が300Cであったことと、再堆積層がポーラスで基板との熱接触が劣化し、放電中にタイル表面の温度が上昇したものと考えられる。(7)タイル温度を300C以上に保つことができれば、トリチウムインベントリーを少なくできる。
洲 亘; 川久保 幸雄*; Luo, G.; 西 正孝
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(12), p.1019 - 1026, 2003/12
被引用回数:4 パーセンタイル:31.59(Nuclear Science & Technology)核融合炉プラズマ対向機器からのトリチウム回収は安全性確保及び稼働率向上の観点から重要な課題である。本研究では、プラズマ対向壁上に形成されて大量のトリチウムが含まれることが知られているカーボン共堆積層の除去へのエキシマレーザーの適用性について、エキシマレーザー(KrF及びArFレーザー)照射によるトカマク型大型核融合試験装置(JT-60及びTFTR)の共堆積層の除去率のレーザーフルエンス依存性を調べ、またレーザー照射中の放出ガスを調べるとともに共堆積層の除去機構を考察した。この中で、KrFレーザーの11J/cm のレーザーフルエンスでの照射の場合には、JT-60共堆積層の除去率は5.0m/pulseに達すること、放出される水素同位体の化学形が主に水素分子の形であって、容易に回収できることを見出した。また、0.8J/cmでのKrFレーザー照射の場合は表面に局部溶融によるコーンが生成され、約2.3J/cmのアブレーション閾値を超えると激しい溶融が起こることをSEMによって確認した。
洲 亘; 川久保 幸雄*; 西 正孝
Applied Physics A, 76(3), p.421 - 425, 2003/03
被引用回数:16 パーセンタイル:53.93(Materials Science, Multidisciplinary)炭素系プラズマ対向タイルを用いた核融合装置では、水素同位体を含むカーボン共堆積層がタイル上に形成されることが知られている。トリチウムと重水素を燃料とする核融合炉では炉内トリチウムインベントリーの低減が安全上重要であるが、共堆積層中に多量のトリチウムが捕捉されうることが指摘されている。共堆積層からのトリチウム回収技術開発の一環として波長193nmのArFレーザー照射研究開発を行い、0.1J/cmのエネルギー密度のレーザーで共堆積層を照射した場合には、トリチウムの放出速度は照射の初期でピークに達し、表面のトリチウムが速やかに除去されることを実証した。また、トリチウムは元素状分子で放出されることを見出したが、これはその後のトリチウム処理が容易にできることを示唆するものである。次に高いエネルギー密度のレーザービームで共堆積層を照射し、アブレーションによる共堆積層自体の除去実験を行った。共堆積層の除去率はアブレーションの閾値(1.0J/cm)より低いエネルギー密度では非常に小さいが、閾値を超えるとエネルギー密度と共に増大し、7.6J/cmでは1.1m/pulse に達した。さらに、照射中の表面温度を測定し、0.5J/cm のエネルギー密度の場合、照射の初期には3570Kに達するが、照射の進行とともに低下し、1000パルス目には2550K程度にまで下がることを見出した。
洲 亘; 川久保 幸雄*; 正木 圭; 西 正孝
Journal of Nuclear Materials, 313-316(1-3), p.584 - 587, 2003/03
被引用回数:22 パーセンタイル:79.65(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60の水素プラズマ実験で生成した共堆積層を用いてレーザーアブレーションによる共堆積層除去の効果を調査した。7.6J/cmのレーザーフルエンスの場合、共堆積層の除去レートは1.1m/パルスに達する結果を得た。共堆積層の除去レートとレーザーフルエンスの関係から、共堆積層のレーザーアブレーション閾値及び波長193nmの紫外線レーザー吸収係数として、それぞれ1.0J/cmと1.9mという値を得た。また、照射中に共堆積層から放出した水素(トリチウム)はほとんど元素状ガスの形であることを測定し、2次汚染の可能性の高いトリチウム水がほとんど生成されないことを確認した。さらに、レーザー照射中の材料表面の温度上昇を、プランクの放射法則に基づいて高速赤外素子InGaAsにより測定した。
三代 康彦; 後藤 純孝*; 柳生 純一; 正木 圭; 宮 直之
平成15年度機器・分析技術研究会報告, p.117 - 120, 2003/00
核融合研究において、プラズマと真空容器内プラズマ対向材料との相互作用の解明は、最適なプラズマ閉じ込めのための重要な課題の一つである。真空容器内面は、プラズマとの接触による損傷を避けるため、高融点材料を用いたアーマータイルで保護される。国際熱核融合実験炉(ITER)においてもダイバータに炭素材料(CFC)を使用することが計画されており、ダイバータの損耗・再堆積によるプラズマへの影響が懸念されている。臨界プラズマ試験装置JT-60ではプラズマ対向材料として炭素材料が用いられており、本装置のタイル(W型ダイバータ時期)を用いて、損耗・再堆積の評価,水素蓄積による水素リサイクリング特性,トリチウムインベントリー量の評価を精力的に進めている。こうしたプラズマ対向機器表面観察において、走査型電子顕微鏡(SEM)の使用は重要な役割りを果たす。そこで今回、炭素材料をSEM観察する場合の最適な測定条件を検討し、その条件下で得られたJT-60タイル破断面の損耗・再堆積に関する微細構造観察結果を報告する。
東島 智; 中村 博文; 堀川 豊彦*; 神永 敦嗣; 関 正美; 久保 博孝; 小西 哲之; 田辺 哲朗*
Proceedings of 30th EPS Conference on Controlled Fusion and Plasma Physics (CD-ROM), 4 Pages, 2003/00
国際熱核融合実験炉(ITER)では、炭素タイルや炭素再堆積層に含まれるトリチウムが運転を制限する可能性があり、トリチウムリテンションを下げる手法の確立が望まれている。また、除去されるトリチウムの化学形に対する知見は、トリチウム回収プラントを設計するうえで不可欠である。JT-60Uではこれまで、不純物低減・粒子リサイクリング低減の観点から壁調整法を開発して来たが、水素同位体除去の観点からも壁調整法の最適化が必要である。そこで、大型トカマク装置における真空容器内の水素同位体挙動を研究し、その有効な除去方法を探索することを目的として、壁調整放電を実施した。講演では、水素同位体除去を目的としたJT-60U壁調整放電の解析結果を報告する。
洲 亘; Gentile, C. A.*; Skinner, C. H.*; Langish, S.*; 西 正孝
Fusion Engineering and Design, 61-62, p.599 - 604, 2002/11
被引用回数:13 パーセンタイル:63.33(Nuclear Science & Technology)プラズマ対向材料表面に形成されるカーボン共堆積層からのトリチウム除去はITER真空容器内のトリチウム滞留量制御上重要である。現在ITERでは、温度240,酸素分圧7Torrにおける酸素ベーキングが提案されている。本研究では、プリンストンプラズマ物理研究所のTFTRでトリチウムプラズマに曝されたCFCタイルを用い、ITERの設計条件で10時間の酸素ベーキングを実施することにより共堆積層からのトリチウム除去のデータを取得した。本ベーキング処理により表面トリチウム濃度は処理する前の1/3に減少し、またサンプル内のトリチウム量も1/3に減少することを確認した。さらに、酸素を用いないベーキングとの比較により酸素がトリチウム除去に大変有効に働くことを確認した。
大矢 恭久; 田所 孝広*; 洲 亘; 林 巧; 大平 茂; 西 正孝
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(11), p.967 - 970, 2001/11
被引用回数:6 パーセンタイル:44.06(Nuclear Science & Technology)炭素繊維強化複合材(CFC)とタングステン基板に共堆積層を模擬した膜をアセチレン(CHまたはCD)雰囲気下でのグロー放電により作成した。この膜にキセノンエキシマランプからの172nmまたはArFエキシマレーザーからの193nmの紫外線を照射し、質量分析器により放出ガスの分析を行った。照射前後の膜における水素同位体の深さ分布を弾性反跳粒子検出法と二次イオン質量分析法により測定した。紫外線ランプ照射によって水素,炭素や炭化水素の放出を確認したが、共堆積層は除去できなかった。一方、紫外線を照射することによって、1分以内にほとんどすべての共堆積層が除去された。これらより紫外線ランプでは一光子吸収によりC-H結合だけが切断されるが、紫外線レーザーでは多光子吸収によりC-H結合、C-C結合などすべてが切断され、除去されると考えられる。
大矢 恭久; 洲 亘; 大平 茂; 林 巧; 中村 博文; 酒井 拓彦*; 田所 孝広*; 小林 和容; 鈴木 卓美; 西 正孝
Journal of Nuclear Materials, 290-293, p.469 - 472, 2001/03
被引用回数:6 パーセンタイル:44.06(Materials Science, Multidisciplinary)D-T核融合炉を運転するとトリチウムがCFCタイルやほかの構造材中に滞留する。トリチウム水を生成しないでトリチウムを除染する方法を開発するために紫外線を用いた実験を行った。タングステン、CFC上に共堆積層を模擬した膜を作成し、これに紫外線を照射し放出するガスを質量分析計を用いて調べた。その結果、紫外線を照射することにより多量の水素、炭素、炭化水素が放出されることを確認した。またFT-IRを用いて試料を分析し、結晶性グラファイト構造とアモルファスカーボン構造が試料上に生成されていることを確認し、紫外線を照射することによりC-H結合が切断されていく様子が明らかとなった。これらのことから紫外線を用いたトリチウム除染が有効であることを示した。